寄稿者「保育士おとーちゃん」様の記事

寄稿者「保育士おとーちゃん」様の記事

これから保育士を目指す方、保育士をしている方に少しでもお役に立てればと思い寄稿します。

僕が保育士になった頃は、まだ「保育士」という言葉のない頃でした。
一般には「保父」という呼ばれ方をしていましたが、正確な職名は「保母」でしたし、資格は「保母資格」でした。

そんな頃でしたから、注目されたり奇異の目で見られたり、応援してくれる人もあれば偏見を持つ人も少なくありません。

でも、そういったことは多少なりとも覚悟して入った道ですから、そのこと自体はそれほど苦ではありませんでしたが、やはり職場内での偏見は直接的なものでもありなかなか大変でした。

園長によっては、「男性に0歳は持たせられない」とか「乳児はさせたくない」など平気でそういったことも言われました。

いま考えればそういうのはセクハラなのですけどね。
そんなこと言える立場でもないので、黙して従うしかなかったですが。

男性意識よりも自分らしくを意識して保育

最近では、男性保育士も増えてきて、社会的にもそれほど珍しいものでもなくなり、これから目指す人は、かつてよりはいくぶんかそのような偏見も少なくなっているのではないでしょうか。

しかし、それでもまだまだ少数派ですし、もしかすると職場で男性一人ということもあるでしょう。

僕も男性が初めてで唯一の状況だったので、ずいぶん「男性保育士としてどうあればいいのか?」「どのように女性保育士とは違う部分を出していけば良いのか」ということに悩んだものです。

しかし、結局いきついたのは「男性だからどうだとか、女性だからどうだとかではなく自分らしくでいいのだ」というところでした。

「自分らしく」でやっていれば、自然と「男性らしさ」の部分もでてくることもあるでしょうし、その人の個性によっては「女性以上に女性的なアプローチ」がもしかするとできてくるかもしれないし、別に男性だからことさら「男性らしさ」があるわけでも、それを出さなければならないわけでもないのです。

なかには「男性らしく」と気負って、ことさら男性アピールをする人もいますが、それが必ずしも保育している子供たちのためになっていないこともありますし、女性保育士からみたとき受け入れがたいものであることもあります。

それがその人の個性であれば、保護者や子供・職場の人も理解してくれるようになりますが、わざわざ「男性らしく」を求めずとも、「自分らしい」保育をしていくことが保育をしていても子供にいいものを与えられるし、職場の中でも「自分らしく」していく方がいろいろとなじみやすいと思います。

保育の現状や厳しさ・やりがい・使命

ここからは男性・女性関係のない話ですが、保育の仕事は外から見ているよりも実際はずっと大変でストレスのたまる仕事でもあります。

「子供が好きでなければできない、けれども子供が好きなだけでもできない」ものだと僕は思っています。

可愛い子供だけを可愛がって、預かっている間楽しく過ごしてさえいればいいのならこの上なくいい仕事でしょう。

でも、実際はそれだけではありません。

現代では親の就労時間が伸びたり、社会や家庭のあり方・親の考え方が変わってきたりするなかで「子供の育ち」は年々難しいものとなっているといっても過言ではありません。

その中でそういった子供を受けとめ、ケアしていかなければならないという使命が保育士には課せられています。

平たく言ってしまえば、「可愛くない子ですら、自分に嘘をついてでも可愛いと思って受け止めていく」ことすら必要となっています。

そして、場合によっては親に変わってきちんと受け止め、可愛がり、その子がまっすぐに成長していけるように手助けをしていかなければなりません。

地域などにもよるのかもしれませんが、今はそういった「満たされない子供」がたくさんいます。

そういった子供の受け止め方というのは、保育の学校では教わらない部分だと思います。

しかし、いまはそれができるようになって初めて一人前の保育士と言えるでしょう。

それは実際大変ですが、そこまでできるようになれば、やりがいのある仕事になるだろうと思います。

保育士になる前に

そしてもうひとつ保育の学校では習わないだろうことを書いておきます。

一口に保育園・保育施設と言っても、その中身は同じではありません。

園全体で子供のためになることを追求して、絶えず勉強しつつ職員同士協力しあって良い保育を目指しているところもあれば、
自分だけの保育観に凝り固まって、子供のためになっていないことでも堂々とそのままなんの反省もなく続けているところ、
経営母体が利益だけしか考えておらず、保育士を伸ばす姿勢もなく、安月給で悪条件のなかで働かせ続けやめたら他の人を採用するだけ、当然そこで見る子供のケアなど考えないというようなところまで様々あります。

おかしい保育をしていたとしても、そんななかに新しい人が何も知らず就職してくると、それがおかしいことになかなか気づけないので、そのおかしいやり方に染まって若いのにとんでもない保育をしている人もいます。

そうなってしまうと、いざ自分が子供を持った時に自分の子育てがうまくいかないことも多いです。

就職してみたけど、そこのやり方に疑問をもって、なにかおかしいのだけどどうすればいいのでしょうという相談も僕はたくさん受けてきました。

また、良い保育をしているところも、ひどい保育をしているところも実際見てきました。

これから保育士を目指す人は、アルバイトでもボランティアでもいいから、いろんなところの保育を経験する機会を就職する前にたくさん持っておくといいと思います。

また、子供の様子や社会が変わっているように、保育も常に学び続けていないと子供に最善のケアというものはできなくなってしまうことがあります。

せっかく子育てを仕事とする普通にはない職業をめざすのですから、どうか良いものを、ほかでは得られないものを身につけられることを願っています。

あとがき

長い文章になってしまいましたが、読んでくださってありがとうございます。

執筆者・寄稿者 「保育士おとーちゃん」様
webサイト 保育士おとーちゃんの子育て日記

※2012年11月18日現在の情報

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